今日の診療
治療指針

1型糖尿病
type 1 diabetes mellitus
西村理明
(東京慈恵会医科大学主任教授・糖尿病・代謝・内分泌内科)

頻度 あまりみない

GL糖尿病診療ガイドライン2019

ニュートピックス

・持続血糖測定器のデータと連動したCSII(SAP)において,すでに認可されている「低血糖予測によりインスリン注入を自動停止する機能」に加え,「高血糖時にもインスリン注入量の増減を自動制御」する機器が,わが国でも2022年から使用可能となった.

・インスリンの投与タイミング・投与量を記録するスマートインスリンペンが,わが国でも2022年から使用可能となった.

・1型糖尿病でSGLT2阻害薬を内服中の患者において,血中ケトン体の自己測定が2022年から保険適用となった.

治療のポイント

・治療の大原則は,糖尿病のない人における内因性インスリン分泌動態を,体外からのインスリン投与により再現することである.

・インスリン投与は生存のために必須であるが,一方で低血糖のリスクが常にあることに留意する.血糖自己測定(SMBG:self-monitoring of blood glucose)や持続血糖測定を活用して,低血糖の予防に加え,血糖変動幅の縮小,目標とするHbA1cの達成を目指す.

・血糖コントロールが改善しない場合や,本人が希望する場合などには,持続血糖測定器のデータを利用しインスリン投与量を自動で増減する,CSIIの導入を考慮する.

・重症低血糖対策として,点鼻グルカゴンの携行を推奨する.

◆病態と診断

A病態

・膵β細胞の破壊により,内因性のインスリン分泌が著しく減少するため,体外からのインスリン投与を生涯にわたり必要とする.

・1型糖尿病は,“膵β細胞破壊の成因”別に,膵島関連自己抗体の有無に従って「自己免疫性」と「特発性」に分類される.

・1型糖尿病は,“発症様式”別に,「急性発症」「緩徐進行」「劇症」に分類される.「緩徐進行」においては,膵島関連自己抗体は陽性であるが,診断時には内因性インスリンが保たれており,インスリン治

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