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GL肥満症診療ガイドライン2016
治療のポイント
・BMIが25以上で体脂肪量の過剰な増加に伴う健康障害を有しており,減量がその健康障害の改善に有効と判断される状態を肥満症と診断して治療対象とする.
・BMI25以上でも肥満に伴う健康障害を伴わず内臓脂肪組織の過剰蓄積も認めない場合は健康的肥満と分類され,疾患として扱わない.限られた医療資源の有効活用という観点から治療対象となる肥満(肥満症)を正確に抽出することが重要となる.
・治療の対象となる肥満症と予防医学的概念であるメタボリックシンドロームを区別して対処する.肥満を伴わないメタボリックシンドロームやメタボリックシンドロームに該当しない肥満症が存在することに留意する.
・肥満症治療の主な選択肢として食事療法,運動療法,行動療法,外科的療法(減量・代謝改善手術)があり,病態や成因(特に2次性肥満の場合)に基づいて治療法を選択し,適宜,組み合わせる.
・2022年7月現在,日本では肥満症を適応疾患とする医薬が存在しない.
◆病態と診断
A病態
・肥満の原因が明らかなものを2次性肥満,明らかな単一の原因が同定されない肥満を原発性肥満と分類する.
・肥満全体のなかで2次性肥満が占める割合は10%前後とされるが,わが国における厳密な統計データはない.2次性肥満のなかには薬剤性肥満,内分泌性肥満,遺伝性肥満,視床下部性肥満が含まれ,原因に応じた治療と対応が必要となる.
・原発性肥満の成因には過食,食の質の低下(食物繊維の摂取不足,菓子類や超加工食品の摂取過剰など),運動不足,睡眠時間の不足や睡眠の質の低下,生活リズムの失調,過食・間食・夜食行動など,一連の生活習慣の乱れが複合的に関与している.
・原発性肥満の成因の一部には低出生体重(胎生期低栄養環境)や世代間の肥満形質の伝播(特に精子遺伝子のエピゲノム)の関与が示唆されている.
・肥満に伴う