今日の診療
治療指針

急性間欠性ポルフィリン症
acute intermittent porphyria(AIP)
大門 眞
(弘前大学教授・内分泌代謝内科学)

頻度 あまりみない

ニュートピックス

・急性発作予防薬,ギボシランナトリウム(ALAS1抑制siRNA製剤)が2021年に承認された.

治療のポイント

・急性発作時の初期治療はブドウ糖液の大量補液を行う.進行するなら,ヘム製剤(ノーモサング)をすみやかに使用する.

・発作を繰り返す場合は,ギボシランナトリウムを使用する.

◆病態と診断

A病態

・ポルフィリン症はヘム合成経路酵素遺伝子異常により起こる疾患(9病型)の総称で,急性発作を呈する急性ポルフィリン症(AP:acute porphyria)と,光線過敏性皮膚炎を呈する皮膚ポルフィリン症に大別される.

・APのうち最も多いのがAIPで,皮膚症状を伴わない.

B診断

・急性腹症を思わせる腹部症状が初期にみられ,次に,不眠,不安などの精神症状を呈し,最後には四肢麻痺,球麻痺などの神経症状を呈する急性発作の特徴より疑う.

δ-アミノレブリン酸ポルホビリノーゲンの尿中濃度の増加によりAPと診断し,さらに糞便中のコプロポルフィリンが正常範囲であればAIPと確定診断できる.

◆治療方針

 急性発作予防および重症化の阻止をはかる.

A急性発作予防

 急性発作の誘因(外傷,感染症,ストレス,妊娠,飢餓,およびバルビタールなどの種々の禁忌薬剤)を避ける.月経が誘因となる症例ではLH-RHアナログを,頻回に発作を起こす症例にはギボシランナトリウムを使用.

Px処方例

 ギボシランナトリウム(ギブラーリ)注 1回2.5mg/kg 月1回 皮下注(12歳以上)

B発症時の治療

1.病態に対する治療

a.ブドウ糖補液

 ブドウ糖1日100~400gを静脈内投与.

b.ヘム製剤

 欧米では第1選択薬.

Px処方例

 ヘミン(ノーモサング)注 1回3mg/kg 1日1回 生理食塩液100mLに溶解し,30分以上かけて点滴静注 4日連続

2.対症療法

 疼痛,腹痛にはコントミンおよび麻薬を,不安,

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