ニュートピックス
・パーソナルヘルスレコード(PHR)やインスリン注射の履歴を記録できるスマートインスリンペンなど,IoT技術の活用が進んでいる.
治療のポイント
・インスリン自己注射の成否は患者の治療行動に大きく依存する.
・インスリン自己注射の患者負担が大きいと治療アドヒアランスに影響する.
・血糖管理が急に不安定になった場合,インスリン自己注射の手技・器材の問題を想起する.
・インスリン自己注射のレジメン作成と指導方法は,患者特性に応じた個別化が重要である.
◆病態と診断
A病態
・インスリンの量と注射タイミングは,生活習慣と心身の状態によって調整する必要がある.
・レジメンが複雑になると治療行動の主体である患者の理解力を超え,服薬エラーの危険が増す.
・注射手技,注射部位,器材管理の問題によってインスリンの効果が不安定になる.
・小児および高齢者,発達障害,認知機能障害,合併症による視力障害・麻痺,神経変性性疾患などの他疾患により,自己注射に困難をきたす場合がある.
・思春期に多く,摂食障害を伴うこともある故意のインスリン減量および中断(insulin omission)に注意する.
B診断
・血糖自己測定(SMBG:self-monitoring of blood glucose)とCGM(continuous glucose monitoring)によって血糖変動を把握する.
・血糖管理ノートやPHRから注射履歴を確認する.
・視診と触診で注射部位の皮下硬結(インスリンボール)やリポハイパートロフィーの有無を確認する.
◆治療方針
Aインスリン自己注射
針交換,空打ち,注入時の保持時間,カートリッジ交換,懸濁操作,注射部位のローテーションなどインスリンの種類に応じた適切な注射手技の指導を行う.視力障害や麻痺により手技に不安がある場合は補助具を紹介する.
血糖に影響する因子と血糖変動の結果の相関性から