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GLバセドウ病治療ガイドライン2019
GL甲状腺クリーゼ診療ガイドライン2017
ニュートピックス
・チアマゾールは従来の5mg錠に加え,新たに2.5mg錠の規格が加わり用量調整が容易となった.
治療のポイント
・治療方針が異なる無痛性甲状腺炎との鑑別が重要である.
・抗甲状腺薬の第1選択はチアマゾールである.挙児希望時や妊娠初期はプロピルチオウラシルを用いる.
・抗甲状腺薬内服開始から3か月間は2週間ごとに副作用モニタリングが必要である.
・甲状腺クリーゼは緊急治療を要する致死的病態であり,早期の診断・治療とともに予防が重要である.
・すべてのバセドウ病患者に禁煙を勧める.
◆病態と診断
A病態
・成因によらず血中の甲状腺ホルモンが増加した状態を総称して甲状腺中毒症という.甲状腺中毒症は,甲状腺ホルモンの合成・分泌が促進した甲状腺機能亢進症(バセドウ病,甲状腺機能性結節,妊娠性甲状腺機能亢進症など)と,甲状腺の破壊により血中に甲状腺ホルモンが漏出する破壊性甲状腺中毒症〔無痛性甲状腺炎(→,「慢性甲状腺炎」の項参照),亜急性甲状腺炎(→,「急性・亜急性甲状腺炎」の項参照)など〕に大別される.特にバセドウ病と無痛性甲状腺炎とでは治療方針が大きく異なるため鑑別が重要である.
・バセドウ病は抗TSH受容体抗体の刺激により甲状腺機能亢進症を呈する自己免疫疾患である.甲状腺腫に加えて頻脈,体重減少,手指振戦,発汗増加などの甲状腺中毒症状を呈する.また,自己免疫機序により眼球突出,複視などの眼症状や,前脛骨部に粘液水腫を合併することがある.
・甲状腺クリーゼは主にコントロール不良のバセドウ病に,何らかの誘因が加わり多臓器不全に陥る致死的病態である.
B診断
・バセドウ病は日本甲状腺学会の「バセドウ病の診断ガイドライン」に基づいて診断する.前述の臨床所見に加えて遊離T4・T3 高値およびTSH低値,抗T
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