今日の診療
治療指針

先端巨大症
acromegaly
蔭山和則
(弘前大学医学部附属病院診療教授・内分泌内科)

頻度 割合みる

◆病態と診断

・成長ホルモン(GH:growth hormone)の持続的な過剰分泌により,手足の容積の増大,特異な先端巨大症様顔貌,巨大舌を主症候とする疾患である.思春期を過ぎ,骨端線閉鎖以後から発症すると,手足が大きくなり,特有な顔や体型を呈する先端巨大症となる.

・先端巨大症の大部分は,GHを産生する下垂体の腫瘍によって引き起こされる.腫瘍の大きさは,直径10mm以下の微小腺腫もあるが,多くは10mmより大きい鞍内腫瘍で,鞍上進展を示して初めて診断されることもある.

・GH分泌過剰の証明として,75g経口ブドウ糖負荷試験で血中GH値が正常域まで抑制されない所見,および血中ソマトメジンC(IGF-1:insulin-like growth factor)の高値(年齢,性別基準)がある.

・画像検査としては,MRIで下垂体腺腫の有無を調べる.

◆治療方針

 治療の目的は,腫瘍の除去および腫瘍による周囲正常組織への圧迫を取り除き,GH分泌過剰に起因する症候の是正と合併症の罹患率減少をはかることである.

A手術

 治療は,第1に手術が考慮される.経蝶形骨洞的下垂体腺腫摘出術が行われている.腫瘍が小さいと完治させることも可能だが,大きい場合や周囲に広がっている場合は,完全に取り除くことは難しくなる.合併症などで(再)手術の危険が高い場合は,薬物療法,放射線療法を行う.術前のソマトスタチン誘導体投与により腫瘍縮小が期待される.

B薬物療法

 薬物治療の適応は,手術治療で十分な効果の得られなかった症例と手術適応のない症例である.治療薬としては,最近はソマトスタチン誘導体がよく使用されている.

1.ソマトスタチン誘導体

 ソマトスタチン誘導体の注射は腫瘍縮小効果があり,有効率は高いとされる.オクトレオチド酢酸塩徐放性製剤(サンドスタチンLAR)は事前にオクトレオチド酢酸塩皮下注製剤(サンドスタ

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?