頻度 あまりみない
ニュートピックス
・2021年6月に内照射療法であるPRRT(ペプチド受容体放射性核種療法)が保険適用となり,ソマトスタチン受容体陽性の神経内分泌腫瘍に対する新たな治療選択肢となった.
治療のポイント
・悪性度は増殖力と分化度に依存し,腫瘍により幅広く異なるため,治療前に生検などで病理組織による確認が重要である.
・基本的には増殖力が低くても転移する能力を有している.
・遺伝性疾患であるMEN1やVHLを背景とした神経内分泌腫瘍は,専門施設にて治療を行うことが望ましい.
・カルチノイド症候群については,腫瘍と症状に対する治療を並行して行う.
◆病態と診断
A病態
・膵・消化管のほかに肺・気管支,前立腺,子宮頸部,乳腺などの全身の組織から発生する.発生頻度が腺管癌の2~5%の希少癌で,80%以上がホルモン症状のない非機能性神経内分泌腫瘍である.
・病理標本の増殖力と分化度によりNET(neuroendocrine tumor)G1,G2,G3およびNEC(neuroendocrine carcinoma)に分類される.NET G1は5年生存率が85.8%,G2は73.1%,G3あるいはNECは28.2%である.
・カルチノイド症候群は腫瘍から分泌されるセロトニン,ヒスタミンなどのホルモンにより顔面紅潮や腹痛を伴う下痢などをきたすが,肝臓代謝のため転移後に症状を呈しやすい.
B診断
・病理組織標本で,クロモグラニンAあるいはシナプトフィジンの発現で診断する.
・高分化型はダイナミックCTで早期濃染と境界明瞭な腫瘤像を呈するが,典型像でない腫瘍はしばしば悪性度が高い.消化管腫瘍は類円形の粘膜下腫瘍様隆起で,しばしば中心陥凹や潰瘍形成を伴う.
・転移巣は肝臓が最も多いが,リンパ節,骨,肺などにも転移をきたすため,肝転移精査とともにオクトレオスキャンによる全身検索が有用である.
・カルチノイド症候
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