乳腺腫瘤性病変の診療において一番大切なことは悪性腫瘍を見逃さないことと良性を悪性と誤診しないことである.乳房の“しこり”を訴える患者に対しては,丹念な問診で愁訴との因果関係を考慮しながら視触診を行う.必要に応じて画像検査を加えることで疾患を想定することができるが,経験や先入観にとらわれると誤診の原因になる.乳腺疾患の診断・治療は日々進歩しており,診断に迷う場合は迷わず乳腺専門医にコンサルトすることが肝要である.
A鑑別診断
乳癌と鑑別すべき腫瘤性病変には嚢胞,線維腺腫,葉状腫瘍,乳管内乳頭腫,腺腫,乳腺症,慢性乳腺炎,脂肪壊死,異物性肉芽腫,女性化乳房などが挙げられる.悪性疾患では肉腫,悪性リンパ腫,転移性腫瘍などがある.
B問診
痛みなどの症状,病悩期間,腫瘤の増大傾向,月経との関連,腫瘤発見時点における,糖尿病の合併,豊胸術や打撲などの外傷や生検,切開手術の既往は診断に重要である.検診受