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治療のポイント
・乳腺の増殖性変化と退行性変化とが共存する良性病変.
・エストロゲンの相対的過剰状態が基盤になって起こる,乳腺の変化が増強された状態.
・異型増殖性病変は,乳癌発症リスクが高く専門医による定期的なサーベイランスが必要.
◆病態と診断
A病態
・欧米ではfibrocystic changeとよばれてきたが,近年,正常乳腺の発達および退縮の逸脱的な変化(ANDI:aberrations of normal development and involution),すなわち,乳腺の増殖性変化と退行性変化とが共存する病変と理解される.
・性成熟期に多くみられ,閉経後には減少する.したがって,エストロゲンの相対的過剰状態が基盤になって起こる,乳腺の変化が増強された状態とされる.
・組織学的に多彩であり構成像として上皮成分では,①乳管過形成や乳管乳頭腫,②小葉過形成,③閉塞性腺症や硬化性腺症,④嚢胞,⑤アポクリン化生がある.間質成分では,⑥線維症がある.さらに限局性増殖が上皮性分と結合織に起こる⑦線維腺腫性過形成などがある.
・良性病変であるが,非増殖性病変(乳癌発症リスクなし),異型のない増殖性病変(相対リスク1.3~2.0),異型増殖性病変(相対リスク4.0~6.0)に分類される.
・異型増殖性病変には,異型乳管過形成,異型小葉過形成がある.これらは,必ずしも前癌病変ではないが,乳癌の発生リスクが高く,癌との鑑別や同側ばかりでなく対側を含めた予防,検診が重要とされる.
B診断
1.症状
・主体となっている組織像によって症状は異なるが,以下の主訴が多い.
a.乳房痛(自発痛・圧痛)
疼痛は周期性であり,月経前にみられることが多い.
b.硬結・腫瘤
硬結に一致して疼痛を伴うこともある.
c.乳頭異常分泌
分泌物の性状はさまざまであり,血性・漿液性・水様・乳汁様と多彩である.分泌乳管孔も一本