今日の診療
治療指針

アレルギー疾患 最近の動向
永田 真
(埼玉医科大学教授・呼吸器内科学/アレルギーセンター長)

◆病態と診断

A学会での主なトピックス

 2022年10月に第71回日本アレルギー学会学術大会が開催された.大会長は吉原重美教授(獨協医科大学小児科学)で,Webにて多くの海外演者にも講演を依頼して多彩なプログラムが提供された.前年に筆者を大会長として第70回を開催したが,今回で70周年を迎えたことから,「日本アレルギー学会70周年記念シンポジウム」が特別開催された.筆者を含めた4名の,本学会の運営に深く関与してきた演者によって,本学会の歴史,アレルギー専門医制度のこれまでと今後について,そして100周年に向けてのビジョンが語られた.会長企画特別講演では京都大学iPS細胞研究所の山中伸弥教授が「iPS細胞研究の現状と医療応用に向けた取り組み」について講演された.

 時節柄,COVID-19禍とそのアレルギー疾患への影響を総括するような内容のプログラムが組まれた.例えばウイルス感染と気道アレルギーの研究の権威である米国ウィスコンシン大学のJames E Gern教授は「Allergy and virus-induced wheezing」,韓国のChang-Keun Kim教授は「Viral infection and asthma:A novel approach to RSV and COVID-19」について講演された.

 本大会はまた,日本アレルギー学会が作成に関与してきた各種ガイドラインの改訂時期の直後であったこともあり,それらの改訂ポイントについての教育講演などが多く提供された.例えば「食物アレルギー診療ガイドライン2021」や「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2021」,あるいは「アナフィラキシーガイドライン」などについてである.筆者は代表を務めた「アレルゲン免疫療法の手引き」(後述)の改訂ポイントについて講演を行った.本大会は充実した進展を示すAllergy Scie

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