今日の診療
治療指針

アレルゲン回避指導の実際
allergen avoidance measures
滝沢琢己
(群馬大学大学院教授・小児科学分野)

治療のポイント

・アレルゲン回避は,アレルギーの有用な治療法の1つである.

・原因アレルゲンを特定し,各アレルゲンの性質に応じた回避指導を行う.

・食物アレルゲンの回避は,必要最小限になるよう指導する.

A吸入性アレルゲン(ダニ・真菌・動物・花粉類)の回避指導

1.ダニ

 本邦の室内で検出されるのはチリダニであり,ヤケヒョウヒダニ,コナヒョウヒダニの2種類がほとんどを占める.至適発育条件は,室温25℃,湿度60~75%であり,秋(9~10月)に最も多くなる.主に,ヒトの落屑を餌として畳,カーペット,寝具,ぬいぐるみ,カーテンなどで繁殖する.ダニの主要アレルゲンであるDer p 1が2μg/g dust以上で感作と喘息発症,10μg/g dust以上で喘息増悪と関連する.ダニアレルゲンは単一の手段による除去では臨床的な効果が認められにくく,除去のための手段を総合的に講ずることが重要である.

 ダニアレルゲン回避のために以下を指導する.

1)室内を清潔にし,ダニが繁殖しやすい環境を避け,通気を行う.

2)ダニが繁殖しやすいカーペットや布製ソファは避け,フローリングの床が望ましい.

3)床や畳に掃除機をかける際は,1回20秒/m2 以上の時間をかけて毎日行う.

4)シーツや寝具はこまめに交換,洗濯する.ダニの通過できない高密度繊維のカバー,シーツを用いる.掃除機をかける際は,1回20秒/m2 以上の時間をかけて週1回行う.

5)年1回は室内の徹底した大掃除を行う.

6)室内ペット飼育は,ペットアレルゲンへの感作やダニアレルゲンの増加をもたらすため,避ける.

7)経口摂取することでも症状が誘発されうる.ダニが繁殖しやすい小麦粉は密封し冷蔵庫に保管するなど,食品中でのダニの繁殖を防ぐよう指導する.

2.真菌

 アレルゲンとなる真菌のうちアスペルギルス,ペニシリウムは屋内真菌,クラドスポリウム,アルテルナリアは屋外真

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