今日の診療
治療指針

“One airway,one disease(鼻炎合併喘息)”の包括的治療
comprehensive management of one airway,one disease(asthma with allergic rhinitis)
金子 猛
(横浜市立大学大学院主任教授・呼吸器病学)

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治療のポイント

・上気道疾患であるアレルギー性鼻炎と下気道疾患である喘息は合併することが多く,共通の病態で発症し相互作用する可能性が示唆されている.

・成人喘息患者の60~70%以上はアレルギー性鼻炎を合併し,アレルギー性鼻炎患者の20~30%は喘息を合併している.

・アレルギー性鼻炎の治療を行うことで喘息のコントロールの改善が期待できるため,特に喘息においてアレルギー性鼻炎の合併の診断と治療が重要である.

◆病態と診断

A病態

・上気道と下気道は連続し,両者は解剖学的,組織学的,生理学的に類似しており,上気道疾患である鼻炎・副鼻腔炎と下気道疾患の喘息は,共通の病態で発症して,相互に作用していると考えられている.

・アレルギー性鼻炎は,アトピー型喘息の発症や重症度と相関関係があり,危険因子となっている.成人喘息患者の60~70%以上はアレルギー性鼻炎を合併しており,一方,アレルギー性鼻炎患者の20~30%は喘息を合併している.

・鼻炎・副鼻腔炎が気管支喘息の病態を悪化させるメカニズムとして,鼻気管支反射(鼻粘膜の刺激により気管支平滑筋が収縮),鼻閉により口呼吸となることで鼻粘膜によるアレルゲンの捕捉や加温・加湿機能が失われること,鼻・副鼻腔粘膜で産生される炎症性メディエーターが後鼻漏により直接,あるいは血流を介して下気道に作用することなどが想定されている.

・近年では,上気道の疾患として好酸球性副鼻腔炎も喘息と深い関連性があり,喘息の重症化に関与することが明らかにされている.

B診断

・喘息とアレルギー性鼻炎が併存することが診断となる.特に喘息においてアレルギー性鼻炎の合併が非常に多いことから,喘息診療の際には鼻炎の合併を必ず確認する.

・喘息は,発作性の呼吸困難,喘鳴,息苦しさ,咳などの症状の反復,変動性・可逆性の気流制限,気道過敏性の亢進,好酸球性気道炎症,アトピー性素因の存在を

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