治療のポイント
・皮下免疫療法はアレルギー性鼻炎および喘息に対して適応がある.
・アレルゲン免疫療法は原因特異的な治療法であり,原因アレルゲンの特定が必要である.
・治療終了後も長期的な効果の持続が期待され,安定した効果を得るために3年以上の継続が推奨されている.
・外来で行う通常法と,入院で維持量まで早期に到達させるラッシュ法などがある.
・全身性副反応がみられることがあり,注意を要する.
◆病態と診断
A病態
・アレルゲン免疫療法は,病因アレルゲンを継続的に投与することで,アレルギー症状を緩和する治療法である.一般的な薬物療法とは異なり即効性を期待して行うものではなく,疾患の自然経過の修飾が期待される唯一の原因特異的治療法である.
・アレルゲン免疫療法には,皮下免疫療法と舌下免疫療法があり,皮下免疫療法は希釈したアレルゲンを注射にて皮下投与する方法であり,舌下免疫療法より効果が高いとの報告もみられる.
・アレルゲン免疫療法の作用機序として,特異的Th2型免疫応答の緩和,Th1型免疫応答の誘導,制御性T細胞の誘導,阻害抗体としてのアレルゲン特異的IgG4抗体の産生,制御性B細胞の誘導などが考えられている.
・皮下免疫療法は,アレルギー性鼻炎に対して,臨床症状の改善,薬物使用量の減量が期待できる.
・喘息に対し,臨床症状の改善,薬物使用量の減量,気道過敏性の改善効果が期待できる.
・皮下免疫療法は,舌下免疫療法よりも使用できる抗原の種類が多い.
・アレルギー性鼻炎に対しアレルゲン免疫療法を施行することで,気管支喘息の発症や新規アレルゲンへの感作を抑制する可能性も報告されている.
・アレルゲン免疫療法の施行期間について,3年以上の継続により治療中止後も長期的な効果が期待される.WHO見解書では3~5年を目安としている.
B診断
・アレルギー性鼻炎は,問診および典型的な所見と症状により臨床的診断が可能であるが,