今日の診療
治療指針

重症アレルギー疾患の抗体療法
biologics for severe allergic diseases
新実彰男
(名古屋市立大学大学院教授・呼吸器・免疫アレルギー内科学)

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ニュートピックス

・「喘息予防・管理ガイドライン2021」(JGL2021)の重症喘息への対応フローチャートは,JGL2018でのアトピー・好酸球性炎症の有無による治療選択から,2型炎症(Th2リンパ球や2型自然リンパ球が関与)優位な病態なら併存症への適応を含む各薬剤の特徴,患者の社会経済的背景などを総合的に判断して4種の抗体製剤から選択し,有効性を評価して他剤へのスイッチを検討,非2型炎症例では非抗体療法(マクロライド系抗菌薬,気管支熱形成術)を選択,との流れに変更された.

治療のポイント

・高薬価も考慮して,標準的治療を適切かつ最大限に行っても効果不十分な場合にのみ使用を検討する.

・検査所見や診断が薬剤ごとに定められた基準を満たす必要がある.

・喘息,アトピー性皮膚炎,特発性の慢性じん麻疹,重症季節性アレルギー性鼻炎,鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎,好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA:eosinophilic granulomatosis with polyangiitis)と幅広い適応疾患があり,複数疾患の同時治療が実現している.

・長期全身(経口)ステロイド療法中の患者では,抗体療法開始後に病勢が改善してもステロイドを急に中止しないよう注意が必要である.

・施設基準と患者基準を記載した「最適使用推進ガイドライン」(デュピルマブと,季節性アレルギー性鼻炎に対するオマリズマブについて作成)を遵守する.

◆病態と診断

・疾患によらず2型炎症の存在が必須である.

・喘息では複数の薬剤から選択可能であり,2型炎症の特徴であるIgE関与(アトピー型),IL-5関与(血中好酸球数高値に反映される好酸球性炎症),IL-4/13関与(IgE産生,気道好酸球集積・リモデリング・気道過分泌,呼気NO高値)のいずれが優位かで判断する.

・各疾患の診断は他章の当該項目を参照されたい.

◆治療方針

 各疾患

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