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GL咳嗽・喀痰の診療ガイドライン2019
◆病態と診断
A生理学的病態
・慢性咳嗽とは,一般検査では原因を特定できない8週間以上持続する咳嗽である.咳喘息とアトピー咳嗽はともに乾性の慢性咳嗽の主な原因である.
・咳喘息とアトピー咳嗽はともに好酸球性気道炎症を有するが,発生機序は全く異なる.
・咳喘息では,気管支平滑筋内あるいは周辺に存在する求心性Aδ線維の気管支平滑筋収縮に対する反応が亢進し,平滑筋収縮がトリガーとなって咳嗽が生じる.気管支平滑筋咳感受性の評価は,吸入メサコリンによる気管支平滑筋収縮が誘導する咳嗽反応で評価する.この感受性はアトピー咳嗽では亢進しない.
・アトピー咳嗽では,気道壁表層に存在する咳受容体(求心性Aδ線維あるいはC線維の終末)の感受性亢進で咳嗽が発生する.その評価は,咳誘発物質カプサイシンを吸入させ,評価する.咳喘息では咳受容体感受性は正常であり,咳嗽の軽快と咳受容体感受性の変化が一致しない.
・上皮咳感受性と気管支平滑筋咳感受性の亢進は治療によって咳嗽が軽快すると正常化する.両感受性は相互作用をもたず,独立した感受性である.メサコリン吸入で気管支平滑筋を収縮させても,β2 刺激薬により気管支平滑筋を弛緩させても,咳受容体感受性は変化しない.一方,軽症喘息においてはメサコリンで惹起した気道収縮がカプサイシン咳感受性を亢進させ,収縮の自然回復に伴い咳感受性も回復するとの報告もある.
B病理学的病態
・咳喘息では,高張食塩液による誘発喀痰,気管支肺胞洗浄液および気管支生検組織の好酸球数は気管支喘息と同程度に増加している.好酸球性炎症のマーカーである呼気一酸化窒素濃度(FeNO)の上昇を認める報告がある.
・アトピー咳嗽では,高張食塩液による誘発喀痰と生検気管・気管支粘膜には好酸球を認めるが,肺胞洗浄液には好酸球増加はなく,FeNOも上昇しておらず,好酸球性
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