今日の診療
治療指針

食物アレルギー
food allergy
大嶋勇成
(福井大学教授・小児科学)

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GL食物アレルギー診療ガイドライン2021

ニュートピックス

・食物アレルギーの発症予防として,離乳食開始前には,湿疹発症早期から治療を開始して湿疹を十分にコントロールしておくことが推奨される.

治療のポイント

・正しい診断に基づいた必要最小限の原因食物の除去が原則である.

・特異的IgE検査やプリックテスト陽性だけで安易に当該食物を除去しない.

・必要に応じてOFCを行い,診断の確定と摂取可能量を決める.

・誤食でアナフィラキシーを起こすリスクが高い場合には,アドレナリン自己注射器を処方しておく.

◆病態と診断

A病態

・食物によって引き起こされる,抗原特異的な免疫学的機序を介して生体にとって不利益な症状が惹起される現象である.

・IgE依存性食物アレルギーでは,食物抗原特異的IgEが産生され感作が生じる.その後,食物抗原の曝露によりマスト細胞上の高親和性IgE受容体に結合した食物抗原特異的IgEが架橋され,ケミカルメディエーターの放出やサイトカイン産生が生じ症状が惹起される.

・非IgE依存性食物アレルギーは,食物抗原特異的リンパ球により誘導される炎症によって生じる.

・乳幼児期発症例では,消化管の発達に加え,経口免疫寛容の誘導により耐性を獲得することが多い.

・食物依存性運動誘発アナフィラキシー(FDEIA:food-dependent exercise-induced anaphylaxis)は原因食物摂取後の運動負荷によりアナフィラキシーが誘発される.

・花粉関連食物アレルギー症候群(PFAS:pollen-food allergy syndrome)は花粉に感作後,花粉と交差抗原性を有する果物や野菜など植物性食物を経口摂取するとアレルギー症状が誘発される.

B診断

・特定の食物により症状が誘発されること,症状誘発が抗原特異的IgE抗体や抗原特異的Tリンパ球を介することを証明すること

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