今日の診療
治療指針

ラテックスアレルギー
latex allergy
近藤康人
(藤田医科大学教授・総合アレルギーセンター・小児科)

頻度 割合みる(国内での有病率は1%未満と考えられている)

GLラテックスアレルギー安全対策ガイドライン2018

治療のポイント

・救急医療現場では,ラテックスアレルギーの患者が受診した際に十分に対応できるように,天然ゴム製品を完全に排除した「ラテックスフリー」の環境,あるいは天然ゴムを含む製品を可能な限り代替品に置き換えた「ラテックスセーフ」の環境を,あらかじめ整えておく必要がある.

◆病態と診断

A病態

・ラテックスアレルギー(LA)は,天然ゴム製品に含まれるパラゴムの木由来のラテックス蛋白質に経皮・経粘膜感作され,ラテックス特異的IgE抗体が産生されて起こる即時型アレルギー反応である.

・天然ゴムを含む製品による反応にはLA以外に,IgE抗体の関与しない刺激性接触皮膚炎および遅延型反応のアレルギー性接触皮膚炎があり,頻度は後2者が絶対的に多い.

・LA患者の3~5割が果物や野菜を食べたときに口腔アレルギー症状やじん麻疹,喘鳴などを呈するラテックス-フルーツ症候群(LFS:latex-fruit syndrome)を起こすことがある.原因となる食品は多種あるが,誘発頻度が高いのはバナナ,キウイフルーツ,アボカド,クリである.

・2014年にLA研究会会員を対象にLA発生状況を調査した結果,1999年に比しリスク因子で最多であった看護師の割合が減少し,アトピー体質の者と医療処置を繰り返す者の割合が増加していた.

B診断

・天然ゴム製品との接触によるじん麻疹,喘息様症状,アナフィラキシーなどの即時型アレルギー症状があること(使用テストでの陽性を含む)に加え,皮膚試験あるいは血液検査でラテックス特異的IgE抗体を検出することで診断されるが,ほかの植物(花粉アレルゲン)との交差抗原性で偽陽性になることがあり注意が必要である.

・ラテックスアレルゲンのコンポーネントとして保険収載されているHev b 6

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?