今日の診療
治療指針

物理アレルギー
physical allergy
宮野恭平
(埼玉医科大学講師・皮膚科学)

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治療のポイント

・物理アレルギーの治療は症状の誘発因子を回避することが中心であるが,症状の軽減を目的として非鎮静性抗ヒスタミン薬を主とした薬物療法を併用する.

・機械的刺激や寒冷,温熱,日光などの曝露は,日中もしくは生活活動時間内に生じやすいため,各抗ヒスタミン薬の最高血中濃度到達時間や血中濃度半減期を理解した薬剤選択を意識する.

◆病態と診断

A病態

・物理アレルギーは,身体に物理的変化が加わることでじん麻疹(一過性,限局性に真皮上層の浮腫を反映した膨疹を形成し,かゆみを伴う.消退後は痕を残さない)や気管支喘息などのアレルギー様反応を呈する疾患群を指す.

・掻破や衣類の擦れなどによる皮膚表面の機械的擦過や寒冷,温熱,運動,日光などに曝露されることで誘発される.

・運動により誘発されるアレルギー疾患として運動誘発喘息や食物依存性運動誘発アナフィラキシーが知られており,発症に複数の誘因が関与していることにも注意が必要である.

B診断

・診察時は症状が消失していることが多いため,問診が重要である.

・いずれの病態・疾患でも直接的な原因だけでなく,同じ刺激で同様のエピソードを繰り返しているか,症状の重症度や改善までの時間,職業など詳細な病歴の聴取が重要である.

・問診から疑わしい原因・誘因を絞り出し,疑われる負荷や物質との接触による誘発試験を行い,症状の再現性を確認することで診断を確定できる.その際,疾患によってはアナフィラキシー症状を呈することがあり注意を要する.

・機械的刺激や寒冷,温熱,日光などによる物理性じん麻疹は,皮疹出現後2時間程度で自然消退することが多い.

◆治療方針

 物理アレルギーは,症状の誘発因子の回避が治療の中心であるが,日常生活において完全に回避することは困難であるため,非鎮静性抗ヒスタミン薬を中心とした薬物療法を併用することが多い.それでも完全にコントロールすることは難

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