今日の診療
治療指針

血清病
serum sickness
正木克宜
(慶應義塾大学・呼吸器内科)

頻度 あまりみない

治療のポイント

・原因薬剤の投与を中止し,再投与を回避する.

・発熱や瘙痒への対症療法を行い,重症例では全身ステロイドを投与する.

◆病態と診断

A病態と症状

・Gell&Coombs分類のⅢ型アレルギー反応であり,抗原とIgGまたはIgM抗体の免疫複合体が組織を傷害することにより発症する.

・破傷風やヘビ毒,ジフテリアへの抗血清療法,抗狂犬病ウイルス免疫グロブリン,抗ヒト胸腺細胞ウサギ免疫グロブリン,マウス-ヒトキメラ抗体(リツキシマブやインフリキシマブ)などが原因となる.少数ながらヒト化モノクローナル抗体(オマリズマブ,アレムツズマブ,ナタリズマブ,アダリムマブ,オビヌツズマブ)での報告もある.

・原因物質への最初の曝露後,1~2週間で瘙痒を伴う発疹,発熱,倦怠感,多発性関節炎,などが起きる.

・じん麻疹様病変を伴うことがあり,これはほかの原因によるじん麻疹よりも持続する.その他の皮膚症状としては紫斑,手掌紅斑,網状皮斑,爪周囲出血も報告されている.

・血清病による発熱はスパイクが特徴であり,同日中に平熱に戻る.

・そのほか,頻度は高くないが頭痛,浮腫,リンパ節腫脹,脾腫,嘔気,下痢などを伴う場合もある.

B鑑別疾患

1.血清病様反応

 ペニシリン,セファクロル,アモキシシリン,トリメトプリム・スルファメトキサゾールなどの抗菌薬投与後,数日~数週間後に発疹,関節炎,発熱が出現する.

2.感染症

 発疹を伴うウイルス性疾患,チクングニア熱,デング熱,ジカウイルス感染症,ライム病,播種性淋菌症,播種性髄膜炎.

3.その他

 薬剤性過敏症症候群,SLE,IgA血管炎,C型慢性肝炎に合併する混合型クリオグロブリン血症,急性リウマチ熱,猩紅熱,若年性特発性関節炎,多形紅斑,スティーブンス・ジョンソン症候群,中毒性表皮壊死症,Sweet症候群.

 なお,小児では家族性地中海熱,新生児発症多臓器炎症性

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