今日の診療
治療指針

好酸球性多発血管炎性肉芽腫症〔アレルギー性肉芽腫性血管炎(Churg-Strauss症候群)〕
eosinophilic granulomatosis with polyangiitis(EGPA) [allergic granulomatous angiitis(Churg-Strauss syndrome)]
中島裕史
(千葉大学大学院教授・アレルギー・臨床免疫学)

頻度 あまりみない

GLANCA関連血管炎診療ガイドライン2017

GL血管炎症候群の診療ガイドライン(2017年改訂版)

治療のポイント

・重症喘息を背景に発症する小型血管炎であり,好酸球増多が顕著な症例やMPO-ANCA陽性例では,血管炎症状の早期発見・早期治療を心がける.

・心障害は無症状のこともあり,不整脈死を避けるため積極的な評価・治療介入が必要である.

・末梢神経病変,心病変,肺実質病変,腎障害,強い全身症状(発熱,体重減少)には,すみやかに治療介入する.

・副腎皮質ステロイドが有効だが,難治例や再発例には抗IL-5抗体(メポリズマブ)や免疫抑制薬が用いられる.

◆病態と診断

A病態

・EGPA(旧称:Churg-Strauss syndrome)は,気管支喘息あるいは好酸球性副鼻腔炎を背景に発症する小型血管炎である.

・細小血管に好酸球浸潤を伴う壊死性血管炎と肉芽腫性病変を認め,著明な末梢血好酸球数の増多を伴う.

・顕微鏡的多発血管炎,多発血管炎性肉芽腫症とともに,抗好中球細胞質抗体(ANCA:anti-neutrophil cytoplasmic antibody)関連血管炎に分類されるが,ANCA陽性率は40%程度にとどまる.ANCA陽性例では腎障害を,ANCA陰性例で心障害を伴いやすい.小型血管炎による血流障害と好酸球による組織障害の合併した病態と考えられている.

B診断

好酸球増多が目立つ成人発症喘息,特に好酸球性副鼻腔炎合併例では血管炎症状の出現に注意する.血管炎症状としては全身症状(発熱,体重減少,筋肉痛)に加え,多発性単神経炎(四肢末梢のしびれ,疼痛,麻痺),消化管障害(腹痛,消化管出血),皮膚症状(紫斑),耳鼻・肺障害(副鼻腔炎,間質性肺炎,肺胞出血),心臓障害(心不全,不整脈)などを認める.

・ANCA陰性EGPAでは,好酸球増多症候群,好酸球性白血病との鑑別が重要であ

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