頻度 あまりみない〔わが国の掌蹠膿疱症(PPP)の有病率は約1%とされている.そのうち約10~30%程度にPAOを認める.日本のSAPHO症候群の90%以上がPAOであり,皮疹はPPPが大半であるが,SAPHO症候群については国内では明らかなデータはない〕
ニュートピックス
・「掌蹠膿疱症性骨関節炎診療の手引き」が初めてまとめられ,概念・診断・治療の指針となった.
治療のポイント
・治療として,いまだ明確なエビデンスは確立しておらず,症例報告や一部の臨床研究に基づき,治療が行われている.
・PPPやPAOの場合,感染病巣がある場合は感染病巣の摘出を行う.例えば,扁桃摘出術,歯根膿瘍の外科的治療など優先的に考える.
◆病態と診断
A病態
・園崎らによって1979年に初めて,掌蹠膿疱症(PPP:palmoplantar pustulosis)の皮疹を認め,骨関節炎を起こす疾患(PAO)が報告された.
・SAPHO(synovitis-acne-pustulosis-hyperostosis-osteitis;滑膜炎/痤瘡/膿疱症/骨過形成症/骨炎)症候群は,慢性皮膚疾患に合併する骨関節炎を共通表現型とする包括的疾患概念である.
・わが国では,痤瘡よりPPPに伴うPAOの頻度が高く,SAPHO症候群とは区別すべきである.
・PAO・SAPHO症候群の発症機序は明らかではない.原因として遺伝的背景があり,環境因子(喫煙,扁桃腺炎,歯肉炎など)があれば,自己炎症性機序により発症することが推測されている.
・骨関節炎は,胸鎖・胸肋関節,胸骨結合部で最も多くみられ,脊椎・仙腸関節,末梢関節にみられる.
B診断
・PAOは,PPPがみられ,胸鎖関節などに慢性の骨関節炎がみられ,感染症・腫瘍・非炎症性骨関節病変が除外された場合に診断される.
・SAPHO症候群の診断は,①PPPに関連する骨関節疾患,②重症痤瘡または化膿性
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