今日の診療
治療指針

サルコイドーシス(内科)
sarcoidosis
沢田哲治
(東京医科大学主任教授・リウマチ・膠原病内科)

頻度 あまりみない

GLサルコイドーシス診療の手引き2020

治療のポイント

・肺門リンパ節や肺,眼,皮膚,心臓など多臓器に非乾酪性類上皮細胞性肉芽腫を生じる全身性疾患である.

・臨床症状や経過は多彩である.予後は比較的良好で,無症候性や自然寛解例も少なくない.

・ADLやQOLに問題なく,心臓や中枢神経系など予後に影響する臓器障害がなければ経過観察を行う.

・治療薬の中心は副腎皮質ステロイドで,難治例では免疫抑制薬〔アザチオプリンやメトトレキサート(保険適用外)〕を用いる.

・難治性ぶどう膜炎には腫瘍壊死因子阻害薬(アダリムマブ),進行性の肺線維化には抗線維化薬(ニンテダニブ)も用いられる.

◆病態と診断

A病態

・遺伝要因を有する個体に環境要因が作用して発症する多因子疾患であり,アクネ菌(Cutibacterium acnes)や抗酸菌などの外来抗原に対するCD4陽性ヘルパーT細胞やマクロファージの活性化により,全身諸臓器に肉芽腫性炎症をきたす.

・血清ACEリゾチームは,単球・マクロファージ活性化を反映して上昇する.

B診断

・多彩な臓器症状や全身症状を呈するが,自覚症状なく健康診断の胸部X線検査で偶然発見される場合も少なくない.「サルコイドーシス診療の手引き2020」を参考に診断する.

・生検により乾酪壊死を伴わない類上皮細胞肉芽腫を病理学的に示し,他の肉芽腫性疾患を除外する.

・病理所見が得られない場合は呼吸器,眼,心臓のうち2臓器以上において,サルコイドーシスを強く示唆する臨床所見を認め,鑑別すべき疾患を除外のうえ,以下の特徴的検査所見5項目〔①両側肺門リンパ節腫脹(BHL:bilateral hilar lymphadenopathy),②血清ACE活性高値または血清リゾチーム値高値,③血清可溶性インターロイキン-2受容体(sIL-2R)高値,④ガリウムシンチグラフィまたはFDG-PET

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