治療のポイント
・脳神経血管内治療は,カテーテルを用いて経皮的に病変を治療する低侵襲手技である.
・新規デバイスの導入や治療の有効性に関するエビデンスが蓄積され,脳血管障害治療の主流となりつつある.
代表的疾患について頻度の多い順に概説する.
A急性期脳梗塞
1.適応
脳主幹動脈閉塞症で一定の条件を満たす場合に血栓回収療法が推奨されている.最近は最終確認時刻から24時間以内にまで適応時間が広がり,わが国のRCTで脳梗塞が大きい場合にも有効性が示された.
2.手技
カテーテルを用いて血栓を回収し,閉塞血管を再開通させる.
3.成績
発症から短時間で良好な再開通が得られるほど予後良好となる.
B破裂脳動脈瘤
1.適応
RCTで血管内治療の優位性が示されたため,まず血管内治療を考慮し,治療困難・ハイリスクの場合に外科治療が選択される.
2.手技
瘤内をコイルで塞栓する.ステントなどは適応外である.
3.成績
長期成績も開頭手術より良好であるが,血管内治療後には再発が多いことに留意する.
C未破裂脳動脈瘤
1.適応
大きさ5~7mm以上の瘤.5mm未満でも,症候性,破裂しやすい部位,不整形瘤は治療を考慮することが推奨されている.
2.手技
ワイドネック瘤にはステント併用塞栓術や,フローダイバーター(目の細かいステント)留置術が行われる.
3.成績
データによるが,後遺症・死亡率は約2~3%と報告されている.
D頸動脈狭窄症
1.適応
ステント留置術は外科手術(内膜剥離術)の危険因子を有し,症候性高度狭窄に適応されることが多い.
2.手技
フィルターやバルーンによる脳保護下に,ステントを留置する.
3.成績
内膜剥離術に対する非劣性を示したRCTとそうでないものがあるが,わが国ではステント留置術が多く実施されている.
E硬膜動静脈瘻
1.適応
皮質静脈逆流を有する場合には頭蓋内出血率が高く(年間約10%),治療対象となるこ