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GL脳卒中治療ガイドライン2021
治療のポイント
・「脳卒中治療ガイドライン」では下記内容が推奨されている.
・一過性脳虚血発作(TIA)を疑えば,可及的すみやかに発症機序を評価し,脳梗塞発症予防のための治療を直ちに始める.
・予測スコア(ABCD2 スコアなど)を用いて,TIA発症後の脳梗塞発症の危険度を予測し,治療方針を決める.
・発症48時間以内,およびそれ以降の治療は,脳梗塞患者の治療に準じて行う.
◆病態と診断
A病態
・局所脳または網膜の虚血に起因する神経機能障害の一過性エピソード(長くとも24時間以内に消失)で,かつ急性梗塞の所見がない病態を指す.
・脳梗塞と同様に,頸部・脳の主幹動脈の粥状硬化によるアテローム血栓性機序,脳の細小動脈の閉塞によるラクナ梗塞に準じた機序,心臓内に形成された,または心臓を通過した血栓が頸部・脳動脈を突然閉塞させて生じる心原性塞栓性機序,およびそれ以外の機序,が考えられる.ただし梗塞巣の局在や個数などに基づいて診断を進められないので(梗塞巣があれば,症候持続時間にかかわらず脳梗塞に分類される),これらの機序を診断することは脳梗塞の場合よりも難しい.
B診断
・初診時にTIAによると考えられる神経症候が認められる場合は,適切に診察し記録する.
・初診時に症候が消失している場合が多く,問診の重要性が高い.症候の内容,持続時間,発作回数などを正しく聴取する.
・診察,問診では,視覚障害に注意する.単眼の障害(一過性黒内障などの網膜虚血)か,同名半盲など脳由来の症候かを見分ける.
・頸部血管雑音,脈拍リズム,心雑音なども重要である.
・MRI/CT,MR血管撮影(MRA),CT血管撮影(CTA),超音波ドプラなどを用いて,脳梗塞の有無や頸部・脳動脈の性状を評価する.
・塞栓源疾患の評価:12誘導心電図,長時間持続心電図で心房細動などの不整脈を,心臓超音波検
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