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GL脳卒中治療ガイドライン2021
治療のポイント
・未破裂脳動脈瘤の破裂リスクはそれぞれ異なるが,年間平均1%程度である.しかし,いったん破裂するとくも膜下出血をきたし,重篤な状態を呈する.
・未破裂脳動脈瘤は,破裂するまではほとんど無症状であるが,一側の動眼神経麻痺など神経症状を呈する場合もある.
・治療は破裂(くも膜下出血)の予防で,経過観察と外科的治療(開頭クリッピング術と血管内コイル塞栓術)があり,動脈瘤の部位,大きさ,形状,そして患者の年齢や全身状態を考慮して決定する.
◆病態と診断
A病態
・脳動脈瘤の多くは血管分岐部に発生する嚢状動脈瘤で,原因は不明,年齢は50~70歳代を中心に,女性に多く,保有率は2~5%とされる.
・未破裂瘤の大多数は無症状であるが,脳神経圧迫症状(多くは動眼神経麻痺)を呈することや,大型化して周囲脳組織の圧迫症状や頭蓋内圧亢進症を生じることがある.
・破裂のリスクが上昇する要因として,高血圧,喫煙,大量飲酒が指摘されている.
・一度破裂し,くも膜下出血をきたすと,出血に伴う脳損傷,脳血管れん縮,水頭症,全身合併症などにより,最終的には半数以上が死亡もしくは社会復帰不可能な重篤な状態に至る.
B診断
・頭蓋内疾患のスクリーニングや脳ドックでのMRAで発見されることが多い.しかし,3mm未満の小さなものや,動脈分岐部の漏斗状拡大および血管の蛇行の強い領域では,診断精度が下がる.
・確定診断や根治治療を考慮する場合には,3D-CTAや,経動脈カテーテル手技による血管造影(DSA)を行う.
◆治療方針
日本脳卒中学会「脳卒中治療ガイドライン2021」や,日本脳ドック学会「脳ドックのガイドライン2019」を参考にしつつ,患者の心理面も考慮して個別に決定する.
本邦のデータを解析したUCAS Japan(Unruptured Cerebral Aneurysm