今日の診療
治療指針

もやもや病(ウィリス動脈輪閉塞症)
moyamoya disease(spontaneous occlusion of the circle of Willis)
黒田 敏
(富山大学大学院教授・脳神経外科学)

頻度 あまりみない

GL脳卒中治療ガイドライン2021

GLもやもや病(ウイリス動脈輪閉塞症)診断・治療ガイドライン(改訂版)(2018)

◆病態と診断

A病態

・もやもや病(ウィリス動脈輪閉塞症)は,日本人に多発する原因不明の進行性脳血管閉塞症であり,脳血管撮影検査で両側の内頸動脈終末部に狭窄ないしは閉塞とその周囲に異常血管網を認める.

家族性の発症を10~20%に認め,男女比は1:2.5で有病率は最近の検討では10万人に対して3~10.5人とされる.発症年齢は二峰性分布を示し,5~10歳を中心とする高い山と30~40歳を中心とする低い山を認める.

・無症状(偶然発見)のものから一過性ないしは固定性の神経症状を呈するものまで,症状は軽重・多岐にわたる.小児例では脳虚血症状が大半を占め,また成人例には頭蓋内出血をきたす例が観察される.脳虚血型〔一過性脳虚血発作(TIA:transient ischemic attack)型,脳梗塞型〕,脳出血型てんかん無症候型などに大きく分類される.

B診断

・もやもや病の厚生労働省の診断基準は2021年に以下のように改訂された.

1.脳血管造影

1)頭蓋内内頸動脈終末部を中心とした領域に狭窄または閉塞がみられる.

2)もやもや血管(異常血管網)が動脈相においてみられる.

・両側性,片側性を問わない.

2.MRIおよびMRA

・MRIでは,1.5テスラ(T)以上(3.0Tではさらに有用)の静磁場強度の機種を用いたMRIおよびMRA-TOF(time of flight)法により,以下のすべての所見をみた場合には,もやもや病と診断してよい.

1)MRAで両側の頭蓋内内頸動脈終末部に狭窄または閉塞がみられる.

2)heavy T2強調画像にて,両側の内頸動脈終末部や中大脳動脈水平部に血管外径縮小がみられる(動脈硬化病変との鑑別に際しては,heavy T2強調画像による罹患

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