頻度 割合みる
GL間脳下垂体機能障害の診断と治療の手引き(平成30年度改訂)
治療のポイント
・ホルモン分泌異常,視神経障害の改善を目的として,病状に応じて,腫瘍摘出,薬物療法,放射線治療を選択する.
・腫瘍摘出は,内視鏡による経蝶形骨洞的手術が一般的である.
・プロラクチン(PRL)産生腺腫以外の機能性下垂体腺腫は,腫瘍摘出が第1選択である.
・下垂体卒中は,急激な頭痛や視力障害で発症し,ホルモン補充や緊急的な手術が必要なことがある.
◆病態と診断
A病態
・原発性脳腫瘍の17%を占める良性腫瘍で,下垂体前葉に発生する.
・分泌ホルモンによる分類と頻度は,ホルモンを分泌しない非機能性腺腫(58%),PRL産生腺腫(14%),成長ホルモン(GH)産生腺腫(14%),副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)産生腺腫(6%),甲状腺刺激ホルモン(TSH)産生腺腫(1%)である.
・直径1cm未満を微小腺腫,直径1cm以上を大型腺腫と定義する.
・非機能性腺腫は,ホルモン分泌がないために自覚症状に乏しく,大型腺腫となって視交叉圧迫による両耳側四半盲~両耳側半盲,正常下垂体の圧迫によるホルモン分泌異常を生じる.
・下垂体卒中は,下垂体腺腫の急性梗塞と出血による急激な増大である.
・偶然的下垂体腫瘍は,画像検査で偶然発見される無症候性腫瘍である.
B診断
・症候,画像検査(CT,MRI),内分泌学的検査,視機能視野検査により診断する.
・非機能性腺腫では,両耳側四半盲,両耳側半盲の頻度が高い.
・機能性腺腫の特徴は,GH産生腺腫(先端巨大症,下垂体性巨人症),ACTH産生腺腫(クッシング病症候で満月様顔貌,中心性肥満),PRL産生腺腫(女性の月経不順,無月経,乳汁分泌,男性の性欲低下),TSH産生腺腫(甲状腺中毒症状,びまん性甲状腺腫大)である.
・MRIの水平断に加えて冠状断,矢状断が診断に有用である.ガドリニウム造影MRI
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