頻度 あまりみない
GL細菌性髄膜炎診療ガイドライン2014
治療のポイント
・細菌性髄膜炎は緊急疾患のため,抗菌薬投与とステロイド治療をすみやかに開始する.
・年齢層別の起炎菌の頻度と患者の基礎疾患などのリスクから起炎菌を想定し,抗菌薬を選択する.
・起炎菌の同定と抗菌薬の感受性結果が判明すれば,検出された菌を対象にした抗菌薬を選択する.
◆病態と診断
A病態
・細菌性髄膜炎は緊急性が高く,未治療ではきわめて予後不良で致死率は15~30%と高い.
・成人の細菌性髄膜炎の起炎菌として最も多いのは肺炎球菌であるが,50歳以上ではB群レンサ球菌,腸内細菌,リステリア菌,緑膿菌なども増加する.一方,ドレナージやシャントなど外科手術を受けたあとではブドウ球菌が最も多く,グラム陰性桿菌が続き肺炎球菌は少ない.
・日本での髄膜炎菌の頻度は欧米に比して著しく低い.インフルエンザb型(Hib)ワクチン導入によりインフルエンザ菌の頻度は激減している.
B診断
・髄膜炎の古典的三徴である発熱,意識障害,項部硬直がすべて揃うことは全体の44%であるので,古典的三徴が揃わなくとも細菌性髄膜炎を除外しない.一方,この三徴に頭痛を加えた4つのうち2つは95%の患者に認められる.
・細菌性髄膜炎の確定診断には腰椎穿刺による脳脊髄液検査(細胞数,糖,血清糖,脳脊髄液蛋白,グラム染色)が必要であり,禁忌でない限りすみやかに行う.
・細菌培養は診断のための基本検査であり,脳脊髄液の細菌培養と血液培養を抗菌薬投与前に行う.
◆治療方針
A抗菌薬
日本における肺炎球菌の薬剤耐性化率は高く,髄膜炎で検出された肺炎球菌ではペニシリン感受性は61.7%で,第3世代セフェムやカルバペネム系抗菌薬のメロペネムの感受性もそれぞれ87.5%と92.6%である.また,50歳以上や外科的侵襲後ではブドウ球菌の頻度が上昇し耐性化率も上昇する.そのため,起炎菌未確定
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