頻度 あまりみない
治療のポイント
・初期治療が重要であり,診断を疑った時点で急性期治療を開始する.
・多くの場合単純ヘルペス脳炎との鑑別が困難であり,単純ヘルペス脳炎を否定するまで抗ヘルペスウイルス薬を併用する.
・呼吸不全,けいれん重積にすみやかに対処し,難治例では気管内挿管・人工呼吸を要することがある.
・ほとんどの自己抗体測定は保険適用外であり,研究用試薬を用いて測定する必要がある.
◆病態と診断
A病態
・自己免疫性脳炎は,自己免疫介在性脳炎・脳症とよばれることもある,自己免疫学的機序によって発症する脳炎・脳症である.
・非ヘルペス性急性辺縁系脳炎の多くが自己免疫性脳炎による.
・多くの自己免疫性脳炎で抗神経抗体が関与していると考えられており,少なくともこれまでに8種類の自己抗体が見出されている.
・代表的な自己抗体に,NMDAR(N-methyl-D-aspartate-type glutamate receptor)抗体,LGI1(leucine-rich glioma inactivated protein 1)抗体,Caspr 2(contactin-associated protein 2)抗体,NAE(NH2-terminal of alfa-enolase)抗体,GAD(glutamic acid decarboxylase)抗体などがある.
・急性に発症する意識障害,全身けいれん,高次脳機能障害などが共通してみられ,昏睡から死亡に至ることがある.
・NMDAR脳炎は女性に多く,約4割で卵巣奇形腫などの腫瘍を合併し,呼吸不全などの自律神経症状や顔面の不随意運動などが長期に続くことがある.
・従来VGKC(voltage-gated potassium channel)複合体抗体脳炎とよばれていた脳炎はLGI1抗体とCaspr2抗体が関与する自己免疫性脳炎に分類され,壮年期に発病
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