GLパーキンソン病診療ガイドライン2018
治療のポイント
・パーキンソン病の脳深部刺激療法(DBS)のターゲットとして,視床下核,淡蒼球内節,視床腹側中間核がある.
・オン・オフやジスキネジアなどの運動症状が日常生活に支障をきたす症例や強い振戦の症例がDBSの対象となるが,発症早期の段階でのDBS導入も勧められている.
・近年の刺激電極の進歩によって,より高い効果と副作用の軽減が可能となっている.
・視床下核と淡蒼球内節でのDBS効果はほぼ同程度だが,前者では薬物減量が可能である.
◆治療方針
A外科的治療の適応
パーキンソン病の外科的治療として脳深部刺激療法(DBS:deep brain stimulation)があり,刺激電極留置部位としては,視床下核(STN:subthalamic nucleus),淡蒼球内節(GPi:globus pallidus internus),視床腹側中間核(Vim:ventral intermedius nucleus)の3つが主な候補となる.STN-DBS,GPi-DBSはウェアリングオフやジスキネジアなどの運動症状が日常生活に支障をきたす症例が適応となり,Vim-DBSは薬物抵抗性の強い振戦の症例が適応となる.
従来は進行期例に対して行われる治療とされてきたが,近年,発症早期の段階でのDBS導入による有用性が報告され,2015年に米国食品医薬品局で,パーキンソン病発症後4年以上経過した時点でも薬物治療困難な例に対してのDBSが承認された.一般的には,年齢が比較的若く(70歳以下),高度な認知機能低下や精神症状がなく,オン・オフやジスキネジアなどの運動症状が強い症例が適応になっているが,今後より発症早期でのDBS導入がパーキンソン病の治療戦略となる可能性がある.
B外科治療の実際
定位脳手術によってDBSの刺激電極が埋め込まれるが,術前MRIの画像解