今日の診療
治療指針

アテトーゼ,ジストニア,片側バリズム
athetosis,dystonia and hemiballismus
和泉唯信
(徳島大学大学院教授・臨床神経科学分野(脳神経内科))

頻度 あまりみない

GLジストニア診療ガイドライン2018

治療のポイント

・アテトーゼとバリズムについては内服治療が基本であるが,重症例では深部脳刺激術を行う場合がある.

・ジストニアについては,症状に応じて,内服薬,ボツリヌス毒素注射,深部脳刺激術などで治療する.

◆病態と診断

A病態

・アテトーゼは主として四肢遠位部にみられる緩徐な筋緊張の変動である.手指をバラバラにくねらせるような運動が典型的である.手指以外に,足趾や前腕,顔面,舌にみられる.大脳基底核の障害が最も重要な病態であると考えられており,最も頻度の高い原因疾患は新生児無酸素症や核黄疸などの周産期障害である.

・ジストニアは持続性の筋収縮を呈する症候群で,しばしば捻転性または反復性の運動や異常な姿勢を示す.大脳基底核を含む脳内ネットワークの異常により生じると考えられている.一部においては,ドパ代謝経路の異常によりジストニアが生じる.遺伝性のジストニアも存在し,これまでに複数の原因遺伝子が同定されている.

・バリズムは,上肢・下肢を投げ出すような,放り出すような激しい不随意運動である.多くは上肢に始まり,下肢,顔面を含んだ半身に及ぶ.通常は片側に出現する.責任病巣は視床下核または視床下核-淡蒼球路にあり,障害側の対側にバリズムを生じる.バリズムの大部分は,視床下核の出血に関連する.しかし,脳腫瘍や頭部外傷,薬剤,代謝異常などで生じる場合もある.

B診断

・いずれも視診による不随意運動の性状の確認によって診断する.

・手指をバラバラにくねらせるような動きがアテトーゼの大きな特徴である.また,筋緊張の「緩徐な」変動の存在と,運動のパターンが比較的乏しいことがジストニアとの鑑別点になる(アテトーゼの概念をジストニアに吸収させるべきであるという意見もある).また,舞踏運動との鑑別も問題となることがあるが,一般的にアテトーゼの動きは舞踏運動の

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