今日の診療
治療指針

片側顔面けいれん
hemifacial spasm
森岡基浩
(久留米大学主任教授・脳神経外科)

頻度 割合みる

GL標準的神経治療:片側顔面痙攣(2008)

治療のポイント

・自然消退することはまれで,徐々に悪化することが多い.

・著効する内服薬はないが,薬剤で軽減することはある.

・ボツリヌス毒素療法は有効であるが,その効果は一時的(数か月)である.

・開頭による微小血管減圧術は完治率が高い.

◆病態と診断

A病態

・顔面神経は,脳幹部から分岐する限られた部分REZ(root exit zone)に正常の血管が接触したときのみ,拍動によって神経に発火が起こり発症する.そのほかに腫瘍による圧迫などで起こることがまれにある.

B診断

片側性に目の周囲の眼輪筋が間欠的にピクピクする動きで発症する.進行すると顔面全体に広がり,口角もピクピクと挙上する動きなどがすべて同期してみられる.自分で止めることができない.

・MRIではREZ部分への血管の接触を確認できるが,一般的な“異常所見”はみられない.

1.鑑別疾患

・ジストニアの一種であるメージュ(Meige)症候群:両側性である.

・チック:一時的に動きを我慢できる.

・眼瞼ミオキミア:疲労/ストレスから眼瞼部にわずかにピクつきがみられるもので,数日から数週で消退することがほとんどである.

◆治療方針

A症状が軽微な場合

 程度が軽く発症から1か月以内くらいのときは,自然消退する疾患と鑑別も難しいことから,様子をみてもよい.

B症状が明確である場合

1.内服薬の処方

 以下の薬剤は,いずれも有効とされる量を初回から投与すると眠気,ふらつきが強いことが多く,3日ごとに段階的に増量すると薬剤に慣れやすく継続しやすい.どうしても副作用が強く継続できないときは,薬剤を減量するか変更する.

Px処方例 下記のいずれかを用いる.

1)ガバペンチン(ガバペン)錠(200mg) 1~3日目:1回1錠 1日1回 朝,4~6日目:1回1錠 1日2回 朝・夕,7日目以降継続:1回1錠 1

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