今日の診療
治療指針

メージュ症候群
Meige syndrome
花島律子
(鳥取大学教授・脳神経内科学分野)

頻度 情報なし

治療のポイント

・頭頸部の分節性のジストニアであり,対症療法を行う.

・開眼困難な場合など生活に支障がある場合にはボツリヌス毒素注射を考慮する.

・ほかの神経疾患および薬剤性の不随意運動の可能性を除外する.

◆病態と診断

A病態

・メージュ症候群とは頭頸部の分節性のジストニアである.

両側の眼瞼けいれんを主体とし,口,下顎,舌など顔面下部のジストニアを合併することも多い.

・原発性,孤発性で原因不明のものをいうが,同様の不随意運動は向精神薬内服やほかの神経疾患によってもみられることがある.

・発症年齢は50歳代が多く,女性に多い.

B診断

・診断は動きの性質からつけられる.眼輪筋の異常収縮による持続的・間欠的な閉眼が最も多い症候である.眼瞼を触ると開眼可能になるなどの感覚トリックがみられることが多い.

・眼瞼以外の頭頸部の筋の異常収縮の有無を確認する.

・軽症では開眼困難,眼の違和感の訴えのみのこともある.筋収縮が明確でない場合には,閉眼開眼を繰り返した際に筋収縮が生じないか,すみやかな開眼が可能であるかを観察する.

・向精神薬内服歴および錐体外路障害をきたす神経疾患の徴候の有無を確認し,2次性のものを除外する.

・重症筋無力症などによる眼瞼下垂との鑑別に気をつける.

◆治療方針

 不随意運動による不快感が強い場合,閉眼が持続して生活に支障が出る場合などに対症療法を考慮する.

A薬物療法

 ボツリヌス毒素が第1選択とされているが,軽症例などで内服治療を試みてもよい.

Px処方例 下記のいずれかを用いる.

1)トリヘキシフェニジル(アーテン)錠(2mg) 第1日目1mg,第2日目2mg,以後症状に応じて徐々に2mgずつ増量,1日6~10mg程度を維持量として3~4回に分服保外

2)クロナゼパム(リボトリールまたはランドセン)錠(0.5mg) 初回1日0.5~1mgを1~3回に分服.以後,症状に応じ

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