頻度 情報なし
治療のポイント
・下肢近位筋優位の筋力低下を繰り返し,脳神経や呼吸は保たれる.
・発作時の治療は血清K値により異なる.
・若年男性では甲状腺機能亢進症に伴うことがしばしばある.
◆病態と診断
A病態
・発作性の骨格筋細胞膜の興奮性異常により脱力・麻痺をきたす疾患で,血清K値の異常を伴うことが多い.遺伝性のものは骨格筋細胞膜イオンチャネルの変異によるチャネル病であることが明らかとなっている.
・脱力発作は下肢から上肢に広がるが,程度は下肢のみといった限局性筋力低下から完全四肢麻痺まであり,その持続は1時間未満から数日まである.発作頻度も毎日から生涯に数回までとかなり幅がある.
・眼球運動障害や顔面・嚥下・呼吸筋の麻痺はあまりみられず,感覚障害や膀胱直腸障害はない.
・発作の誘発因子として,低K性では高炭水化物食,過剰な運動など,高K性であれば寒冷,安静などがある.
・特殊なタイプとして周期性四肢麻痺に不整脈〔QT(U)延長〕と骨格奇形を合併するAndersen-Tawil症候群がある.
B診断
・発作時の血清K値から,低K性,高K性に分類され,それぞれ家族性と症候性に分類される.
・家族性(遺伝性)では常染色体顕性遺伝(優性遺伝)を示し,骨格筋型Caチャネルαサブユニット(CACNA1S)や骨格筋型Naチャネルαサブユニット(SCN4A)の遺伝子変異が原因となる.
・発作間欠期にprolonged exercise test(運動試験)でCMAP振幅の漸減現象を認める.
◆治療方針
A低K性周期性四肢麻痺
1.発作急性期
発作は夜間から早朝に起きやすく,前日の過剰な運動や飲酒,炭水化物の過剰摂取が誘因となる.甲状腺機能亢進症によるものは若年男性に多く,しばしば救急外来で遭遇する.発作急性期の治療は徐放性でないK製剤の経口投与を行う(→,「高K血症,低K血症」の項参照).
Px処方例 Kを経口投与す