頻度 あまりみない
ニュートピックス
・免疫チェックポイント阻害薬投与を契機にPNSを発症する可能性があり,免疫関連有害事象との鑑別が困難な症例もある.
治療のポイント
・原因となる悪性腫瘍の治療とともに免疫療法を行う.
◆病態と診断
A病態
・自己抗体と細胞傷害性T細胞が,腫瘍組織と共通抗原である神経組織を障害する.
・標的抗原の局在により,細胞内あるいは細胞表面に発現する分子に対する自己抗体に分類される.
B診断
・発症時に悪性腫瘍が発見できない場合でも,経過中に診断される場合がある.
・自己免疫性脳炎(特に辺縁系脳炎),小脳変性症,皮膚筋炎などの病型がある.
・代表的な病型はランバート・イートン筋無力症候群であり,約60%の症例で肺小細胞癌が原因となり,電位依存性カルシウムチャネル抗体が検出される.
・亜急性に精神症状,意識障害,けいれんを呈する自己免疫性脳炎には,多数の細胞表面抗原に対する自己抗体が報告されている.
・N-methyl-D-aspartate受容体抗体が代表的であり,卵巣奇形腫が原因であることが多い.
・診断には,悪性腫瘍の転移,代謝・栄養障害,凝固の異常や感染,抗癌剤の副作用などの除外が必要である.
◆治療方針
細胞内抗原に対する自己抗体に比べ,細胞表面抗原に対する自己抗体が原因となるPNSのほうが,免疫療法の効果が期待できる.
A初期治療
1.第1選択薬
ステロイドパルス療法を行った後に,プレドニゾロン内服を開始し1か月間は維持する.
Px処方例 下記の1)を行った後,2)を開始する.
1)メチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウム(ソル・メドロール薬)注 1回1,000mg 1日1回 点滴静注 3~5日間連続保外
2)プレドニゾロン(プレドニン薬)錠 1回30~60mgまたは0.5~1mg/kg 1日1回保外
2.第2選択薬
ステロイド治療で効果が不十分な場合には,免疫グロブリン大量