今日の診療
治療指針

認知行動療法
cognitive-behavioral therapy(CBT)
久我弘典
(国立精神・神経医療研究センター・認知行動療法センター長(東京))

ニュートピックス

・新型コロナウイルス感染症流行下においてメンタルヘルス不調に悩んでいる方が増加し,オンラインやデジタル化した認知行動療法の応用化が急速に進んでいる.日本医療研究開発機構(AMED)障害者対策総合研究開発事業により開発がなされている,遠隔型オンラインメンタルヘルスケアシステム(KOKOROBO:https://www.kokorobo.jp)では,認知行動療法の技法を用いたチャットボットや遠隔カウンセリングのプログラムが搭載され,その普及が期待されている.

治療のポイント

・人はストレスを感じると悲観的に考えがちになり,自らの心を問題解決できない状態にしてしまうことがある.認知行動療法は,そうした認知(ものの受け取り方や考え方)に働きかけてつらい気持ちを楽にし,問題解決を手助けすることにより,症状の改善をはかる構造化された心理療法である.

・治療者と患者が一対一で,毎週1回45分程度の面接を12~16回行う定型的な認知行動療法(高強度認知行動療法)と,患者複数人を対象に実施する集団認知行動療法や,ウェブなどのさまざまなツールを組み合わせ,短時間で行うことができる認知行動療法(低強度認知行動療法)などがある.疾患や症状の程度によっても,その提供の仕方は異なる.

A適応

 2010年より気分障害に対して,2016年よりパニック症,社交不安症,心的外傷後ストレス症,強迫症といった不安関連疾患に対して,2018年より神経性過食症に対して診療報酬上の算定が可能となっており,厚生労働省認知行動療法研修事業において関連した研修を実施している.さらに,集団認知行動療法として,認知行動療法の手法を活用した薬物依存症に対する集団療法プログラムに2016年より保険適用が認められたほか,2020年にはギャンブル障害に対する認知行動療法に基づく標準的治療プログラムも診療報酬に収載されている.また

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?