治療のポイント
・身体疾患による精神障害は,身体疾患そのものの影響で精神症状が出現するものを指し,身体疾患に対する心理的反応は含まない.
・精神症状が身体疾患に起因するものかどうかを鑑別するためには,適切な検査を行うことが重要である.
・治療の原則は原因となっている身体疾患の治療を行うことであるが,精神症状はしばしば治療の阻害要因になるため,対症的に向精神薬投与が必要になることが多い.
・向精神薬を投与する場合には副作用が出やすい傾向があるため,注意する.
・身体疾患治療後,精神症状が改善したら向精神薬を漸減中止する.
◆病態と診断
A病態
1.疾患概念
・身体疾患による精神症状は,頭部外傷,脳炎,脳血管障害など脳に原因があるもの(1次性)と,脳以外の全身性疾患による脳への侵襲によるもの(2次性)に分けられる.前者を器質性精神障害,後者を身体疾患による精神障害とよぶことが多い.
・病態に関しては不明な点が多い