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GL日本うつ病学会治療ガイドライン Ⅰ.双極性障害2020
◆病態と診断
A病態
・双極性障害は,その経過中に躁状態(または軽躁状態)とうつ状態を呈する慢性の疾患である.
・うつ状態では,抑うつ気分,興味の減退,不眠,易疲労性,自責感などの抑うつ症状を呈し,他の精神疾患と比較し自殺のリスクは高い.
・再燃率は5年で7~8割と高く,再燃を繰り返すと,安定期間が短縮される.
・躁状態が顕著なⅠ型と,躁状態が軽度(軽躁状態)なⅡ型に分けられる.
・本邦での時点割合は,安定期間が4割,うつ状態が4割,躁・混合状態が2割と,症状ではうつ状態が多くを占める.
・1年以上安定を維持できる割合は2割,4回/年以上エピソードを繰り返す急速交代型(ラピッドサイクラー)の割合は1割である.
B診断
・抑うつ状態だけでなく,既往として,高揚気分,多弁,睡眠欲求の減少,お金の無駄遣い,易怒性,注意の散漫,活動性の上昇といった躁症状を確認する.
・うつ病との鑑別は困難である.補足情報として,家族歴(遺伝負因は双極性障害>うつ病)や好発年齢(双極性障害20歳代,うつ病40歳代),妄想などの精神病症状の併存(双極性障害に多い)などを参考にする.
・ほかにも,うつ病と比較し過眠や過食などの非定型症状,病相回数の多さなどの特徴がある.
・アルコールや薬物依存や,注意欠陥・多動性障害の併存率が高く,主体となる疾患がどちらなのかの見極めが重要である.
◆治療方針
薬物療法が基本となり,躁,抑うつ,維持期,各相に応じた薬剤の調整が必要である.抑うつ状態急性期から,最も長い期間の薬物の曝露となる維持治療期を視野に入れた治療戦略が必要となる.切迫した希死念慮,著しい体重減少,幻覚妄想状態など重篤な症状を認める場合は入院による治療が必要である.薬物治療と併せて心理教育や精神療法,運動療法を行うことも有用である.
また,「日本うつ病学会
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