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治療のポイント
・選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)を中心とした薬物療法,認知行動療法などの精神療法,両者の併用,のいずれかが治療の第1選択となる.
・薬物療法に対する反応率は30~40%程度であり,十分な治療を行うためには,心理教育や精神療法を含む心理社会的介入が必要となる.
・心理社会的介入における中核的手法は曝露反応妨害法であり,この手法の成否が治療全体の成否を左右する.
◆病態と診断
・「手が汚染されているのではないか」「鍵をかけ忘れたのではないか」など,追い払おうとすればするほど繰り返し浮かんでくる思考やイメージ(強迫観念)と,「何度も手を洗う」「何度も確認する」など,強迫観念に伴う不安や不快感を解消するために繰り返し行う行為(強迫行為)が存在し,それらによって日常生活に支障をきたしていることをもって診断する.
・典型的には,こうした強迫観念や強迫行為について「バカバカしい」「無意味である」といった不合理感を患者自身が自覚している.
・家族を中心とした身近な人に執拗に確認や保証を求めるなど,巻き込み行為もしばしば認められる.
◆治療方針
心理教育と薬物療法によって症状の緩和と生活機能の改善をはかり,必要に応じて精神療法を併用する.
A心理教育
まず,患者が苦悩している強迫観念と,それを解消するために行っている強迫行為を具体的に同定する.そのうえで,強迫行為を行うことで不安や不快感は一時的には軽減するが,すぐさま増悪し,それを解消するために再び強迫行為を行ってしまうという悪循環構造を明確にする.可能であれば,強迫行為を行わなくても不安や不快感は自然に軽減していくという事実を提示し,曝露反応妨害法へと繋げる.
B薬物療法
SSRI(selective serotonin reuptake inhibitor)が中心となるが,最低でも6週間以上使用してから効果判定を