頻度 割合みる(conversion 50人/10万人)
ニュートピックス
・ICD-11では,転換症(conversion)は,解離性神経学的症状症という用語になり,症状別に10の下位分類をもつ.学際的な研究や治療が進んできている.
治療のポイント
・神経生物学的理論と心理的理論の双方向からの理解が必要である.
・「解離性(転換性)障害である」という説明と心理教育を行うことで,症状への理解を促す.
・必要時は関連する診療科(脳神経内科など)との併診や学際的治療が望まれる.
◆病態と診断
A病態
・解離症状では意識野の制限,健忘,人格変容などがみられ,意識あるいは人格の統合性が一時的に失われる.解離性健忘,解離性同一性障害,離人感・現実感喪失障害がある.転換症状には運動機能,知覚機能の障害がある.
・記憶,意識,運動などを制御する能力が障害されている.解離症状に気づかず何時間も過ごすこともある.
・運動機能の症状には,麻痺,脱力,振戦,ジストニア,ミオクローヌス,歩行障害,発話症状(失声症)などがある.
・知覚機能の症状には,視覚変化(視覚変容など),聴覚変化(難聴など),知覚の脱失,ふらつき,喉の中の塊の感覚(ヒステリー球),痛み,倦怠感などがある.
・意識障害を伴う全般化した異常な四肢の震えは,てんかん発作に類似し,心因性非てんかん性発作とよばれることもある.
B診断
・本疾患は,記憶,知覚,運動,身体イメージ,情動など心身の統合的,随意的な機能の一部が一時的に欠落した状態である.多くの場合は部分的で日あるいは時間単位で変動する.
・たびたび幼少時の被虐待歴,心的外傷,ストレス因が関連するが,それらが存在しなくても発症することはある.
・評価尺度は,解離性体験尺度(DES:dissociative experiences scale),転換症状には身体表現性解離質問票(SDQ-20:somatoform