今日の診療
治療指針

抗うつ薬の副作用
adverse effects of antidepressants
鈴木映二
(東北医科薬科大学教授・精神科学)

GLうつ病治療ガイドライン第2版(2017)

ニュートピックス

・投与開始あるいは増量後の比較的早い段階から不安,焦燥,パニック発作,不眠,易刺激性,敵意,衝動性,アカシジア,躁状態などが現れることがあり,アクチベーション症候群とよばれている.過去にjitterinessとして知られていたものと同一であると考えられているが,近年,その報告が増え再注目されている.

治療のポイント

・25歳未満(特に18歳未満)(男性よりも女性)で希死念慮および自殺企図のリスクが高くなるものの,自殺完遂率には有意差がないとされている.

・投与初期から上部消化管出血が増加する.特にNSAIDsとの併用でリスクが高まる.

・重篤な副作用は特異体質によるものが多いが,頻度はまれである.

・副作用のほとんどは薬の作用機序によって説明できる.

・副作用のほとんどは治療開始後数日以内に出現し,中止によって数週間以内に治まる.

・自殺関連事象の起きる可能性は,治療開始後1か月以内に高まる.医師,患者,家族は自殺念慮や自殺行動の徴候に気を配る.

・高齢患者では,セロトニン再取込み阻害薬は三環系抗うつ薬よりも安全で忍容性が高い.

◆病態と診断

A病態

・抗うつ作用は主にノルエピネフリン再取込み阻害(NRI:norepinephrine reuptake inhibitor)およびセロトニン再取込み阻害(SRI:serotonin reuptake inhibitor)作用によると考えられており,一部ドパミン再取込み阻害(DRI:dopamine reuptake inhibitor)作用も関連しているといわれている.それらの作用は,主たる目的である抗うつ作用以外の症状をもたらすことがあり,それらが副作用になる.

・また抗うつ薬は,それ以外の作用も少なからず発揮する.アルファ1アドレナリン受容体遮断(抗α1),ドパミン受容体遮断,ヒスタミン

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