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ニュートピックス
・世界保健機関(WHO)が2021年9月に公表した新しい大気質ガイドラインでは,大気汚染を減らすことにより,喘息などの慢性および急性の呼吸器疾患,肺癌だけでなく,脳卒中,心臓疾患などの疾病の発生・増悪を減らせるとして,従来よりも厳しいPM2.5レベルを示した.
治療のポイント
・高感受性者に対して,基礎疾患の治療だけでなく,大気汚染の曝露を減らすための日常生活の対応が必要である.
・大気汚染濃度の高い地域への渡航は,事前に大気汚染物質濃度の情報を確認し,必要に応じて基礎疾患の治療薬の処方を行う.
◆病態と診断
A病態
・人の健康に影響を与え環境基準が定められている大気汚染物質には,微小粒子状物質(PM2.5),浮遊粒子状物質(SPM),光化学オキシダント(Ox),二酸化窒素(NO2),二酸化硫黄(SO2)などがある(図).
・大気汚染による健康影響は,健常者に比べて高感受性者(呼吸器系や循環器系疾患のある者,小児,高齢者など)にみられ,個人差も大きい.
B診断
・大気汚染はさまざまな疾患の発生・増悪に関係するが,患者個人の疾患の原因が大気汚染物質への曝露(のみ)により引き起こされたかどうかを診断することは難しい.大気汚染の関与の有無は治療方針に直接かかわらないが,曝露を低減するための日常生活の対応を説明するためには,以下の点を確認する.
1)高感受性者かどうか.
2)大気汚染物質濃度が高い状況(黄砂飛来時,光化学オキシダント注意報/警報,PM2.5の注意喚起発令など)かどうか.
◆治療方針
症状や疾患に対して,診療ガイドラインに応じた治療を行う.大気汚染物質の濃度が高い場合や,高感受性者の場合には,大気汚染物質への曝露を避ける対応をとる.
A日常的な対応
国内の都道府県のホームページや環境省の大気汚染物質広域監視システム「そらまめくん」(https://soramame