今日の診療
治療指針

有機溶剤中毒
organic solvent poisoning
甲田茂樹
(労働安全衛生総合研究所・所長代理(東京))

頻度 よくみる(人口10万対年間5,200人程度)

ニュートピックス

・有機溶剤とは産業現場で用いられる化学物質の一群である.国は2021(令和3)年に化学物質規制の見直しを提案し,従来から積み上げられてきた化学物質規制の仕組みが大きく変わる,いわば「曲がり角」に来ている.このことは職場での化学物質管理だけでなく,労働者の健康管理や健康障害への診断・治療などにも影響を与える可能性がある.

治療のポイント

・有機溶剤中毒に対する治療は対症療法が主体となり,中毒の予防対策が基本となる.

・予防対策の基本は作業環境管理・作業管理・健康管理という労働衛生三管理と労働衛生教育を通じた有機溶剤の危険有害情報への理解と曝露回避行動の実行である.

・有機溶剤中毒は職場における有機溶剤曝露によるものであるから,職場で有害要因が除去されない限り,中毒症状の程度の差はあれ,有機溶剤中毒の多発や職場復帰後の再発などが起こるた

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