今日の診療
治療指針

治療と仕事の両立支援
support for medical treatment and work
平岡 晃
(産業医科大学・産業保健経営学)

ニュートピックス

・2018年に新設された療養・就労両立支援指導料は2020年度の診療報酬改定で,①対象となる疾患の拡大(悪性腫瘍に加え,脳血管疾患,肝疾患,指定難病),②対象となる企業側の連携先の拡大,③主治医と事業者の連携の変更(患者と事業者が作成した「勤務情報提供書」をふまえ,主治医が両立支援に必要な情報を提供する),④相談支援加算の新設が行われた.

・2022年度の診療報酬改定でも,治療と仕事の両立を推進する観点から,対象疾患および主治医の診療情報提供先の見直しが行われた.

治療のポイント

・療養・就労両立支援指導料の対象疾患かどうかにかかわらず,すべての慢性的な経過の疾患を治療する患者に就労の背景がある場合,長期的な視点で治療と仕事の両立について支援ができるとよい.

◆病態と診断

A治療と仕事の両立支援とは

・治療する患者に就労の背景がある場合,病気の症状や治療の合併症,副作用が働き方にどのような影響を与えるのかということを考えなければならない.

・患者本人が治療を受けながら働くことを希望する場合,本人の申し出に基づき,事業場(職場)と医療機関(主治医)が連携をとりながら,本人の治療と仕事の両立の支援を行うことが「治療と仕事の両立支援」である.

◆治療方針

A診断時の3つの伝えるべきこと

 悪性腫瘍や難病などの病気であると診断されると,漠然とした不安から仕事は続けられないと思い,診断直後に仕事を辞めてしまうケースも少なくない.したがって,診断時には,①早まって仕事を辞めないこと,②治療と仕事の両立について相談をしても構わないこと(支援する意思があること),③悪性腫瘍の場合,だれでも無料で利用できる「がん相談支援センター」(全国のがん診療連携拠点病院などに設置)などの相談先があること,の3つを伝えることが重要である.

B多職種連携による支援

 主治医のみで支援を行うことは難しいため,院内の多

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