治療のポイント
・皮下骨折か開放骨折かを判断する.皮下骨折が保存療法の対象である.
・可及的早期に診断し整復・固定する.
・固定材料による皮膚損傷,神経圧迫,循環障害に注意する.
・固定直後からリハビリテーションを行う.
・補助療法を併用できるか検討する.
◆病態と診断
A病態
・骨折には骨折部に皮膚の創がなく骨折部が外界と交通していない皮下骨折と,直接交通する開放骨折がある.皮下骨折が保存的治療の対象となる.
B診断
1.身体所見
・バイタルサインを確認する.四肢の単独皮下骨折ではショックに陥ることはまれである.
・以下の点を評価する.皮下骨折か開放骨折か,血管損傷の有無,末梢神経損傷の有無,骨折部の安定性,隣接関節や隣接臓器の損傷の有無,軟部組織損傷の程度,受傷からの時間.
2.画像所見と補助診断法
・単純X線撮影,補助診断として,超音波,CT,MRI,造影などを行う.
・血液検査,尿検査から全身状態を評価する.
◆治療方針
皮下骨折であること,早期に手術が必要な血管神経損傷や隣接関節や隣接臓器の損傷がない場合,保存的治療が考慮できる.必要があれば徒手整復を行う.整復後骨折部が安定していれば外固定を行う.不安定である場合は牽引や創外固定を考慮する.年齢,性別,受傷部位,社会的背景を考慮し,保存的治療の継続か,外科的治療への移行を判断する.
A固定
布や包帯,牽引,副子(シーネ),ギプス,装具を用いて行う.固定材料による皮膚損傷,神経圧迫,循環障害に注意する.
1.布や包帯
三角巾固定(図a図),アームスリング,包帯固定,バストバンド(図b図),鎖骨バンド(図c図)などがある.
2.牽引
小児で整復位保持のために使用することが多い.
3.副子
スポンジで裏打ちされたアルミ板副子(図d図),ギプスを化学繊維で包んだギプス副子(図e図)などを使用する.骨折直後で局所の腫脹が強い場合に用いる.
4.ギプス(図f図)
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