治療のポイント
・超音波を毎日20分間照射する.
・骨折部位に正確に照射する.
・骨癒合が得られない場合,漫然と超音波治療を続けるべきではない.
◆病態と診断
A病態
・骨折とは何らかの原因で骨の連続性が断たれた状態である.
・遷延治癒骨折とは骨折の治癒過程が進行しているものの,一般的な骨折が治癒するまでの期間と比べて骨癒合が遷延している状態である.
・偽関節とは骨折の骨癒合過程が停止した状態である.
B診断
・一般的な骨折は単純X線写真で診断できる.
・疲労骨折や不顕性骨折の診断には,CTやMRI検査を要することがある.
・遷延癒合や偽関節の診断には連続した単純X線写真を比較することが重要であり,CTが必要なことも多い.
◆治療方針
低出力超音波パルス(LIPUS:low-intensity pulsed ultrasound)は断続的超音波で,骨折部に物理的刺激が与えられることによって骨癒合が促進される非侵襲的治療である.新鮮骨折に対しては骨癒合までの期間を短縮させ,偽関節や遷延癒合に対しては手術を行うことなく骨癒合が得られる可能性がある.
A適応
1)四肢(手足を含む)の遷延治癒骨折や偽関節.
2)四肢(手足を含む)の観血的手術,骨切り術,偽関節手術が実施された症例.新鮮骨折では当該骨折から3週間以内にLIPUSを開始した場合.
B照射部位の決定
骨折部は体表からは正確に認識することができないため,超音波(エコー)検査で骨折部を確認してLIPUS照射部位を決定する.
C患者のアドヒアランス
患者が自主的に毎日照射しなければならないため,治療に対する理解とモチベーションが超音波治療の効果を得るために必要である.患者教育としてLIPUS照射の意義を伝え,LIPUSの治療効果を判定する際には毎日正確に照射できていることを確認しながら診療にあたる必要がある.
文献
1) Jingushi S, et al : Lo