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GL橈骨遠位端骨折診療ガイドライン2017(改訂第2版)
治療のポイント
・最も頻度の高い骨折の1つである.年間発生率は人口1万人あたり15~28人と報告されている.
・X線指標で大きな転位(関節面の段差や離開が2mm以上,関節面の背側傾斜が10度以上,橈骨短縮が2~3mm以上)が残る場合やいったん整復できても不安定性が強い場合は手術を考慮する.
・70~90%は保存的に治療されるが,手術成績が向上し,早期の機能回復を期待して手術適応が広がっている.青壮年や独居高齢者では手術により早期に手を使える利点があり,治療法選択時には患者背景も考慮する.
◆病態と診断
A病態
・転倒時に手をついて受傷する.立位からの転倒が最多であり,女性に多い.女性は男性の約3倍多く発生している.低エネルギーでの受傷では骨脆弱性との関連も考えられる.一方で転落や交通事故による骨折は男性に多い.
・発生率では80歳あたりにピークがある.また,路面の凍結や低気温などの気象との関連が指摘されている.
・骨折型は背側へ転位した関節外骨折が最も多いが,関節内骨折も半数近くに及ぶ.
B診断
・手関節単純X線2方向(正面と側面)が基本である.関節面の掌側傾斜(背側傾斜),橈骨短縮(尺骨変異)の程度,関節面の段差や離開などが重要な指標になる.
・受傷時(整復前)のX線評価で大きな転位(背側傾斜20度以上)や尺骨茎状突起骨折の合併,皮質の粉砕,関節内骨折があると不安定性が示唆される.また,高齢であることも不安定性の一因となる.
・関節内骨折の評価や術前計画にCTが有用である.冠状断像や矢状断像の再構成,3D-CTを加えることで正確な評価が行える.
◆治療方針
X線評価で2mm未満の関節面の段差や離開,10度までの関節面の背側傾斜,2~3mmまでの橈骨短縮は青壮年においても許容される.65歳以上ではその許容範囲は広くなる.
高度な変