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GL変形性股関節症診療ガイドライン2016改訂第2版
治療のポイント
・大きく分けて,保存治療と手術治療があり,手術治療は関節温存手術と人工股関節全置換術とに分けられる.
(保存治療)
・病識の向上のための患者教育,運動療法,物理療法,歩行補助具の使用などが挙げられるが,いずれも長期的な病期進行予防に関しては不明である.
・NSAIDsに代表される鎮痛薬は,短期的な疼痛緩和に有効であるが,消化管潰瘍や腎機能障害などの懸念から,長期間の投与には慎重を要する.
〔関節温存手術(寛骨臼回転骨切り術など)〕
・疼痛の緩和や,病期進行予防のために行われ,青壮年患者,寛骨臼形成不全の病期分類初期までがよい適応である.
(人工股関節全置換術)
・患者の疼痛や股関節機能,ADLなどを考慮し,多くは関節温存手術の適応とならない進行期以降の関節症に対して行われる.
◆病態と診断
・本邦においては,寛骨臼形成不全に由来する二次性股関節症が多いのが特徴であるが,明らかな形態異常のない一次性股関節症もあり,近年では脊椎アライメントと股関節症の関連や,大腿骨寛骨臼インピンジメントの関与も指摘されている.
・診断には両股関節単純X線像が最も用いられる.臥位で撮影されることが多く,関節裂隙の狭小化,骨棘形成,骨嚢腫,軟骨下骨の骨硬化といった所見がみられる.
・病期としては,寛骨臼形成不全があるものの,関節裂隙の狭小化のない前股関節症,関節裂隙が軽度狭小化している初期股関節症,明らかに関節裂隙が狭小化している進行期股関節症,関節裂隙が消失する末期股関節症に分けられる.
◆治療方針
A前股関節症,初期股関節症
疼痛を伴わない症例に関しては経過観察とし,疼痛を生じた際には鎮痛薬の投与を行うが,漫然と長期的な処方は,慎重を要するべきである.運動療法などの保存治療も,短・中期的な症状緩和には有効なことが多いが,長期的な