今日の診療
治療指針

特発性大腿骨頭壊死症
osteonecrosis of the femoral head(ONFH)
黒田 隆
(京都大学整形外科・講師)

頻度 あまりみない

GL特発性大腿骨頭壊死症診療ガイドライン2019

ニュートピックス

・厚生労働省の指定難病であり,ステロイド関連では発生自体を予防する先進医療,また発症早期の再生医療(細胞治療や成長因子を用いた低侵襲手術)の社会実装が進んできており,治療法の選択肢は増えつつある.

◆病態と診断

A病態

・特発性大腿骨頭壊死症は,ステロイド治療歴(患者数の5~6割)やアルコール多飲(3割),狭義の特発性(1割)を背景として,大腿骨頭への一過性の血流障害が起こり,大腿骨頭内の骨細胞や骨髄細胞が壊死に陥った状態である.

・壊死の範囲が広い場合には大腿骨頭が圧潰し,疼痛,歩行困難,可動域制限など日常生活動作は著しく障害される.壊死範囲の広いタイプでは8割で骨頭圧潰が生じ,その多くが人工股関節全置換術を施行されている現状がある.

・ステロイド関連ではSLEの患者が最多で,20~30代の若い世代の患者が多く含まれることや両側性が半数,診断時に圧潰例が半数あることも特徴である.

B診断

・問診でステロイド治療歴の有無,アルコール摂取歴について聴取する.ステロイド治療(特にステロイド大量投与)を要するあらゆる疾患(膠原病,腎疾患,血液疾患,眼科疾患,皮膚疾患,臓器移植など)でステロイド関連の骨頭壊死は生じうるため,問診が重要である.

・初期の単純X線像は正常であり,MRI T1強調での骨頭内低信号バンド像が早期診断に最も有用である.

・急に股関節痛を訴えて受診した患者では,骨頭圧潰がはじまってきた場合も多い.単純X線像は必ず両股関節2方向で撮影し,左右比較で軽度の骨頭圧潰(正面像での骨頭外側,側面像での骨頭前面の一部平坦化やcrescent sign)を見逃さないようにする().

・厚労省研究班の診断基準は,以下の1)~5)のうち2つを満たす場合となっている.

1)単純X線像での骨頭圧潰(crescent si

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