頻度 あまりみない(小学校高学年から中学生の10万人あたり1~2人)
治療のポイント
・股関節~膝前面の痛みを訴える小学校高学年から中学生の肥満児の場合に疑う.
・手術療法が唯一の治療で,in-situ fixationがスタンダードである.
・大腿骨頭壊死症の発症は予後と関連し,不安定型では特に発症しやすい.
・大腿骨頭壊死予防の確立された方法はなく,発症する可能性を念頭におく必要がある.
・大腿骨頭壊死が発症した場合には,坐骨免荷装具歩行など骨頭圧潰予防に努める.
◆病態と診断
・大腿骨近位部成長軟骨板の脆弱性の下に,運動や肥満などの負荷に耐え切れず生じる.
A診断
・肥満の小学校高学年~中学生で股関節~膝前面の痛みがあるときに疑う.
・診断は股関節2方向のX線(図)で診断する.特に側面像で比較することが重要である.
・軽微なすべりではMRI検査が役に立ち,関節水腫,骨幹端部や骨端部の骨髄浮腫を認める.
B病型
1.不安定度
・2つに大別される.松葉杖や杖の使用にかかわらず,歩くことや荷重をかけることができるものを安定型,激しい痛みがあり松葉杖を使用しても歩けないものを不安定型と分類する.
2.発症時期
・3つに大別される.症状発症から3週間未満のものをAcute.発症から3週間以上経ち,大腿骨近位部のリモデリングを認めるものをChronic.Chronicの時期に突然の激しい痛みとともに急性増悪したときにAcute on chronicとよぶ.Acuteの場合,不安定型である可能性が高い.
3.すべり角
・股関節側面像で測定するが,すべり角が大きいほど,大腿骨頭壊死症や機能障害が生じやすい.
◆治療方針
診断確定後には即日入院とし歩行禁止とする.2kg程度の重さで介達牽引を行い,ベッド上安静とする.
安定型であれば,in-situ fixationを行うが,頸部骨頭移行部前方に骨性隆起がある場合には,関節鏡